2011/12/22MUSIC FIGHTER
初めて見たのは雑誌の中で。デビューシングル「Blue tears」の宣伝広告だった。
メインストリームの女性ボーカルバンドはどれもこれもバブルを引きずった元気系ばっかりで、パーソンズやフェアチャイルドは居たけれどチャートを賑わす感じではなかったので、小田舎の中学生にはやや遠い存在だった。アイドル然とした女性歌手たちはプラスチックの殻を被り、そうでないものは一頻り何かに吠えていた。そんな時に現れたのが、JUDY AND MARY。
私は別にこのバンドを好きでも嫌いでもない。
前述の宣伝広告を見た時も「ああ、また似たような女の子のバンドが出てきたのね」くらいの印象しか持てなかった。前述の広告写真でYUKIがつけてた真っ赤なハートのチョーカーがかわいかったので名前を覚えた。その程度の興味。ラジオで「Blue tears」も聞いてみたけど、やっぱりプラスチックコーティングされた感じで、次の「Day dream」でちょっと好きになったけど、熱狂的にはならなかった。
じゃじゃ馬なJUDYと、おとなしいMARYの混合。このコンセプトが気に入ったので、カラオケで困らない程度に曲を覚える――そんな日々が長く続いた。
私の中でジュディマリが唯一の存在になったのは、「MUSIC FIGHTER」の時だ。失礼ながらそれまでは他のバンドと彼女らを分ける強烈な個性を感じられなかった。デビュー当時の硬質さが徐々に溶けて生身の声が聞こえ始め、当時の女の子に寄り添うバンドになりつつあったが、教室内カースト制度最下層で高二病真っ盛りの私なんかは、それをただずっと冷ややかな目で見ていた。
そんな折だ。あの殻を打ち破る心地良い時代の警笛が鳴り響いたのは!
YUKIの絶叫にも似た高い声、続く荒々しい演奏。
殻とかプラスチックとかリア充爆発しろとか、そんなのが全部どうでもよくなった。
当時はこっ恥ずかしくて言えなかったけど今なら言える。「私たちはジュディマリ世代」なんだ、と。
ちなみにジュディマリのCDは1枚も持ってないです。ミドリがカバーした「MUSIC FIGHTER」の入ったトリビュートアルバムだけは持ってますPR